朝のキッチンはもっとも人に入って来て欲しくない場所です。我が家のキッチンは独立型で一つの小さなお部屋のようになっているので、人口密度が高くなると動きづらいわ暑いわで不快になるからです。
そんな中、夏季休暇中にも関わらずいつもより早く起きだしてきて、ヌッとキッチンに入ってきた長女。
「おはよ。。。フレンチトーストつくる」
と、いきなり隣に並んできました。
「それならもっと早くいってよ。もう朝ごはんの支度し始めてるのに〜」
私の抗議も完全無視でカシャカシャと卵を溶く長女。
(まぁ、いいや。この作りかけはアレンジでもしてランチに出せば)
さっと気持ちを切り替え、朝ごはん作りからの解放だわ!と、自分が楽をすることに思考をチェンジした私。
ところがです、、、
よくよく見るとなんだか量が少ないのです。フレンチトースト用に長女がスライスしたブリオッシュは2枚です。普通のトーストならわかるけれど、ブリオッシュはその半分以下の大きさなので、当然家族4人分には足りません。
「ねぇ、それ少なくない?」
「これで充分だよ。わたし、そんなに食べないし」
「あなたは食べなくても、他の人も食べるでしょう⁉︎」
ここで、えっ?っという顔をした長女。
どうやら自分の分だけ作ろうという魂胆なのです。
(ああ、、、こんな娘に育てた覚えはないわ。なぜ、自分のことしか考えられないのかしら。。。)
「あなたは自分さえよければそれでいいの?」
私は怒りを堪え、諭すように静かな声で問いかけます。
「っつうかさ、自分のことは自分で!っていつも言ってるじゃん。それにみんなまだ寝てるし、食べたいかどうかわからないしさ」
「だったら起こして、どうですか?ってオファーすればいいんじゃないの?」
「ダディーだってそんなことしないよ。いつも食べたければ1人で勝手に作って食べてるし」
「。。。。。」
そうだった。うちにはもう1人、そんな自己中がいるのだったわ。
なんでもかんでも妻にやらせようとするのではなく、私が動かなければ勝手に自分でどうにか出来てしまう夫。料理も洗濯もアイロン掛けもなんでもその気になれば自分でできる人です。
面倒がなくていいと、そんな夫を育てた義母に心で感謝しつつ、時としてその極端な個人主義に冷めたさを感じてしまう。
あ〜、やはり私は日本人なのだわ。。。と改めて感じることが度々あります。
日々の食事も専業主婦である私が作り、それを当たり前のように食べている家族達。夫も時には作ってくれますが、それは私が「作ってよ」と言った時だけです。言わなければ、自分だけで平気で腹を満たそうとします。
日本人的には
「さぁ!たくさん作ったから、みんなも食べてね!」
そんな言葉を期待するものですが、ハッキリ具体的に言わなければ通じません。
夫に関しては外国人なので、もう仕方がないと慣れっこになっていますが、アイデンティティは完璧なる日本人だと思っていた娘までもがまさかの個人主義とは。。。
「みんなで同じ物を食べる必要はないんじゃないの?朝ぐらい各々が自分で好きな物を食べればいいんじゃん。マミーだってその方が楽でしょ?」
おっしゃる通りですが、、、。
なんだか母は寂しいです。
別にいいんですよ。自分の面倒は自分でみるというのなら。自立心も必要なことですし。
ただね、人をケアする。思いやる。気遣う。そんな気持ちを日本人としては忘れて欲しくない。だって、一人分も四人分も分量を増やせばいいだけで手間は変わらないのだから。
一番身近にいる家族を思いやれない人が、どう他人に思いやりの気持ちを持てるというの⁉︎
そう思うのです。
子供達が小さな頃から「自立!自立!」と言ってきましたが、個人主義なんだか利己主義なんだか、よくわからなくなってきました。
利己主義と個人主義は紙一重なのでしょうか?
利己主義=自分の利益だけを考えて行動する。自分勝手、エゴイズム。
個人主義=個人の主義、意思を尊重する。大切にする。
このフレンチトースト問題に照らし合わせて考えると、どちらにも当てはまる気がします。
利己主義=自分はフレンチトーストが食べたいから、自分の分だけ作って食〜べよ!
個人主義=みんなはどうかわからないけど、私はフレンチトーストが食べたいから作って食べるわね。
(違いがよくわからん。。。)
結局、自分の分だけ作った娘。食べている途中で起きてきた夫と下の娘が「おっ!美味そうじゃねーか!俺たちも作ろうぜ‼︎」
と、キッチンに立ち、楽しそうにフレンチトーストを焼いていました。
(なんだかなぁ。。。)
「マミーも食べる?作ろうか?」
そんな言葉は当然ありません。食べたければ自分が作るか「私の分も作って!」と口に出さなければいけないのです。
こんなことは、もはや日常茶飯事なので嘆くようなことでもありませんが、なんだかモヤモヤします。
とはいえ、ものは考えよう。
私が何から何まで世話を焼かなくても、自分達でマネージしてくれるのなら楽でいいではないか!そう思うことにします。