お菓子を巡る暮らしの雑記帖

アラフィフ主婦が美味しいお菓子とともに過ごす毎日を思いつくまま綴るブログ。食、家事育児、国際結婚、ブログなど。。。

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ロンドンブーツのトラウマ体験。ハイヒールで階段を降りるのが怖い。

私は踵の高い靴が好きです。別に背が低いからではありません。身長は平均的日本人女性のそれより数センチ高いくらいです。
ヒールを履くのは、その方が素敵に見えるんじゃないかとか、ちょっと気取ってみたいとか、足長効果が期待できるんじゃないかとか、そんな単純な理由です。
女子力ならぬ、自己満足力でアラ50になってもヒールを履き続けているというわけです。
ところが、最近は少し自信をなくしています。若い頃よりも10キロ近く増えた体重を、細いヒールで支えるのがつらくなってきました。当然です。全体重が爪先に集中しているのですから、その負担たるや「爪先よ、ごめんなさい」といった感じです。
カツカツと歩いていても、すぐに足が痛くなりタクシーに手を挙げる。そんなことが格段に増えてきたのです。


プラットホーム

もう限界かもしれない。。。ようやくハイヒールを卒業する時がきたのかもしれないわ。。。そう考え始めた時、ふと玄関にある娘の靴が目に入りました。高さ10センチはありましょうか、しかしその靴は踵だけが高いのではなく、まるで花魁道中のポックリのように爪先の方も高くなっているプラットホームと呼ばれるタイプの靴でした。
(こんなの若い人だけのものよね。。。)と思いながらも、そっと足を通して姿身の前に立つと、なんという履きやすさ、しかもヒールを履いた時のように足長効果もバッチリです!
よし!これからはプラットホームよ!
と、早速爪先と踵の高低差が少ない上げ底靴を買いに走ったのでした。

ずっこける

見た感じとしては合格ですが、履いて歩き回っているとなんとも不安定さを感じます。そして必ず一度はずっこけるのです。
クキン!っと横に足首を捻ったり、蹴つまずいたり。なんとも恥ずかしい姿を晒しながら歩いているわけです。
普通のハイヒールではこんなことはありませんでした。
「地に足がついていない」という言葉がありますが、通常のハイヒールならついてないのは踵だけ。しかしプラットホームは足のどの部分も地面についていません。その不安定さがズッコケを誘発するのでしょう。
プラットホームにしてから、駅やショッピングセンターで階段を使うときには、必ず手すりにつかまるようになりました。上るのはいいのですが、降る段になると、途端に恐ろしくなるのです。。。
それは遠い遠い日に見た、ある光景が原因になっているのです。

プラットホームとロンドンブーツ

ここでお話するロンドンブーツとは、お笑いペアの「ロンドンブーツさん」ではありません。80年代に街に氾濫していたヘビーメタルな男女の必須アイテムであった、ヒールの高いブーツのことです。
長い髪にレザーのジャケット、スリムなパンツを履き、背中にはエレキギター。そして足元は10センチはあろう高さのブーツを履くというのが定番スタイルでした。
このロンドンブーツこそ、現在のプラットホームの原型ではないか?と私は思うのです。
今ではそんなブーツを履いてる人は見かけなくなりました。稀にそれっぽい方を見かけると、思わず振り返って凝視してしまうくらいです。しかし当時はモヒカン、トロージャン少年の履くDr.マーチンと同じくらい頻繁に見かける、ごくごく普通のブーツでした。
そんな沢山いる「ロンドンブーツを履くメタルな男性」の一人により、私の心にはあるトラウマが埋め込まれていたのです。
それを自覚したのは30年以上経ってからのことでした。


ロンドンブーツ パイソン柄型押し (茶/ブラウン) (26cm)



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落ちたメタル少年

それほど混雑していない山手線沿線の某駅でのこと。なぜその駅に行ったのかは思い出せませんが、電車を降りた私は改札に向かうべく階段を登ろうと上を向いた時のこと、まさに階段の最上段にギターを担いだ亜麻色の長髪を颯爽となびかせるメタル少年がいました。手にはジュラルミンケース、足元は真っ白な超絶ハイなロンドンブーツを履いています。年は二十代前半といったところでしょうか。色の白い美少年でした。自分の美しさを知っている人間特有のドヤ感を全身に漂わせながら、その人が階段を降り始めたのと、私が階段を登ろうと最初の一段に足を掛けたのは同じタイミングでした。
その瞬間のことです‼︎ メタル少年は足を踏みはずし、ゴロゴロとギターもろとも私に向かって転げ落ちてきたのです。
とても背の高い人だったので、その落ち方はものすごく派手で、ギターやジュラルミンケースが階段にゴチゴチ、ガンガンぶつかる音も手伝って、まだ十代だった私は恐ろしさでなす術もなく立ち尽くしていました。
気がついた時には、私の足元にそのメタル少年が着地していました。
周りに人はいましたが、誰もなにも言いません。
(生きてるの? ヤバくないか?)
「だ、だ、大丈夫で、すか、、?」
バグバグする心臓を抱え、震える声で足元の男性に声をかける私。
すると、メタル少年は怠そうに身体を起こすと、私に向かってニヒルな笑みを浮かべたのです。
(怖い!ホラーだ!でも生きててよかった!)
色々な感情に飲み込まれているうちに、メタル少年は立ち上がり、
「やっちまったな。でも大丈夫だよ」
と、何事もなかったように足を引きずりながら歩き始めました。
(あんなポックリみたいな靴履いてっからだよ‼︎ ビックリさせるな!)
そう、心で悪態をつきながらも何事もなくよかったと胸を撫で下ろしたものですが、その後ろ姿からかなりのダメージがあったのは明白です。しかしメタル少年のプライドが、たったいま自分がしでかしたことを事実として受け止めるのを許さなかったのでしょう。
髪をかき上げながら、気取って歩き去って行きました。
その時、まるで団子虫のようにスローモーションで落ちくるメタル少年の姿は、30年以上経った今でもくっきりと目に焼き付いています。
プラットホームを履くたびに、その光景がフラッシュバックして、私はもはや手すりなしでは階段を降りることもできません。。。

あの光景を改めて思い返してみると、やはりプラットホームシューズは危険です!
あのメタル少年の履いていた真っ白なロンドンブーツも爪先から踵まで、かなり高さのあるプラットホーム型でした。
若い人でさえあんなふうにズッコケるのですから、運動神経の鈍った今の私では手に負える靴ではなかったのです。
トラウマ体験がそれを教訓とすべし!そう言っているようにも思えます。
普通のハイヒールでは足が痛くなる。プラットホームでは危険。。。
それは、
もう若づくりはやめろ!
ハイヒールは卒業しろ!
そういうことなのでしょうか。。。
自分の娘を見ても、街を歩く若い女の子達を見ても、歩き方はさておき、無様にズッコケてる人など見ません。
いよいよなのか。。。

いやいや、まだまだ履きますよ。たとえ足が痛くなっても、真冬にノースリーブのドレスでレッドカーペットに登場する女優さんの如く根性で、どんなに痛くても、どんなに危険を伴っても、まだまだ諦めません‼︎
(女優さんに例えるとか、あり得ないけど。。。まぁ、そんな心意気ってことで。)