お菓子を巡る暮らしの雑記帖

アラフィフ主婦が美味しいお菓子とともに過ごす毎日を思いつくまま綴るブログ。食、家事育児、国際結婚、ブログなど。。。

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我が家の外国人夫は昭和オヤジ。「何があっても家族は俺が支える!」その理由。

最近夫が会社から渡された書類を持ってきました。
日本語(漢字)が読めない夫には、なにが書かれているか詳しいことはわからないので、こうした書類に目を通し記入するのは結婚以来私の役目です。

さて、今回は保険の書類でした。ガン保険の加入を促すもので、万が一疾病により休職を余儀なくされた際、90日間は結構な額の保障を受けられるというものです。
我が家の夫もアラフィフエイジになりました。メタボ判定以外は、健康上問題なし。元々頑強な上に健康管理もしています。おまけに体に悪いことは一切避けて通るような人なので、今のところ不安はありません。
しかし、一寸先は闇。自分も含め、そんな数多くの人生を目にしてきた身としては、保険はあって邪魔になるものでもないと思っています。

「これ、ガン保険の書類だから、万が一あなたが働けなくなっても安泰よ!給料満額じゃないけど、足りない分は私が補えば済む程度だし、入っておこうかしらね」

そう言ったところ、夫の眉間にキュッとシワが寄りました。

「見くびってもらっては困る!俺はなにがあろうと、どんな状況になろうとも最後まで家族のために働くぜ!保険なんて必要ない !」

「妻子の面倒も見られないような甲斐性のない男には、絶対にならないぞ!」

などと、いきなり一昔前の昭和頑固親父みたいな啖呵をきりはじめるではありませんか(笑)

いやいや、気力はあっても体が追いつかないってこともあるし。。。
実際に手術なんてことになったら、痛くて働けないわよ〜。
そんな私の言葉はもはや耳に入りません。
歳を追うごとに頑固になっている夫です。何を言おうが響かず、聞き入れようとしないのです。




この外国人夫にとって、家族とは特別なものです。
特に子供達はこの日本で唯一血の繋がりがある人間です。
私も含め、この4人家族は夫の全てといっても過言でないなかもしれません。
今でこそ街に外国人が溢れている日本ですが、夫が来日した当時はまだまだ日本という国は外国人にとって寛容な国ではありませんでした。
言ってみれば、周りは敵だらけ。お巡りさんからの職質は日常茶飯事、部屋を借りるのも、職を得るのも、公的機関での手続き一つでも外国人は大変な思いをしてきました。
大袈裟にいえば、我が家はそんな時代を家族で戦ってきたという歴史があります。
私も日本のことを知らない夫を守るために、時には先陣切って戦ってきました。怒りで眠れないほどのことも数知れずありました(涙)
それが、何十年か経つうちに夫も日本に慣れ、社会の方も外国人の受け入れに寛容になってきました。
今では「俺は永住するぜ!」と言っているほどに、安定した穏やかな生活を送れるようになりましたが、それでも過去にあった屈辱的な出来事を未だに口にすることもあります。

そんな経緯があるせいでしょう。夫にとって心底信頼できるのは、家族だけなのです。
家族で守ったり、守られたりしながら暮らしてきた夫にとって、私はただの妻ではなく共に戦った同士でもあります。
散々苦労もあったからこそ、いま私が専業主婦としてお友達とランチだ、ショッピングだ、ブログだと、楽しく過ごしている様子を見るのは感無量だと言います。
もちろん働きたければ働けばいい。いずれにしても好きなことを自由にやってくれていいぜ!と言っています。
そして、子供達にも好きなことをさせて、自由にのびのびとした暮らしを与えてあげられるのも喜びだといいます。
そのためには、何が何でも自分が頑張って、家族の生活を支えなければと考えているのです。

昨今では、たとえ夫婦といえども、ひとりひとり自分の面倒は自分で見よ!という世の中に変わってきています。
基本的には外国人夫も個人主義の人です。しかし、異国の地で暮らす夫にとって、揺るぎない生活を得るためには、家族の存在は安心につながるのでしょう。
普段の生活では個人主義で時として、こちらがモヤモヤするほどの身勝手さを見せつけてくれる夫ですが、それは家族という形の中でこそ出来ることなのです。
個人主義が悪いこととは思いません。これからの社会にはそんな精神が強く求められてくるでしょう。
私も子供達には、とにかく「稼げる」術を持て!と言っています。

しかし、いまの我が家は昭和的な暮らしです。家族で足りなり部分を補い合いながら、助け合いながら生きていこうということです。
時代に逆行していますが、今はそれでいいと思っています。よそはよそ、うちはうちなので。

夫にとっては、自分が家族を支え、幸せを与えていると思えることこそが、ガソリンになっているのです。
そして、本当に万が一のことがあった時は、またかつてのように私が前輪となり走るだろうことはわかっているのです。
子供達とて同じです。もうティーンエイジャーの2人は、その気になれば生活費を稼ぎ出すくらいのポテンシャルはあります。親二人が倒れても、まだ我が家には余力があるということです。
そんな家族の信頼関係があるからこそ、なんの心配もせずにとことん頑張ってやろうと思うのでしょう。

近頃は歳のせいか、頑固になってきた夫。訳のわからないことを言いだしたり、面倒くさい男、父親になっていますが、根底は変わっていないようで、相変わらずの昭和頑固親父。
ムカつくことも多々ありますが、家族のためにそこまで覚悟をもってくれていることは、感謝しなければいけません。

さて、例の保険ですが、結局加入することにしました。

「保険というのは、最悪の事態を想定して加入するものでなく、お守りのためなのよ。これで一生元気に働けるはずよ!」

そんな口説き文句でコロリです。
単純なところも相変わらず。オヤジになっても変わってはいないようです(笑)