先日、職場の上司に、
「夏休みはいつとるんですか?」
そう尋ねられました。
いつまでもお休みの申請がないので、わざわざ聞きにきてくれたらしいのです。それもそのはず、早い人は早々に夏休みをとっている時期です。
私が働いている職場では、パートタイマーであれば長期休暇の時期を問わず、事前に申告していれば比較的お休みしやすいという雰囲気があります。
そんな融通の利く環境だったため、私は休むのなら事前に申告は必要でも、休むつもりがなければそのまま働いていればいいと思っていたのです。
しかし、誰もが夏休みをとるのは当たり前となっているせいでしょう。7月から8月の時期となれば、会社側は業務に穴が開かないよう人員確保、スタッフのシフトを擦り合わせなければいけないのですね。
長い専業主婦生活のせいで、そんな当たり前のことにも気持ちが及びませんでした。。。
「私、お休みしませんので」
「でも、夏休みだし。。。」
「夏でも今年は休みません。契約通りのシフトと時間で変わらずお仕事します!」
「本当にそれでいいのですか?」
社員の方が不安そうに念を押してきます。
「はい。お仕事を始めたばかりですし、今年はそうするつもりでいましたので」
そう口では言いながら、、、
(この仕事のおかげで、ようやく主婦業から卒業できたんだから、休むなんてもったいなくてできないわよ!)
そう心の中で呟く私。
約20年にもわたる専業主婦生活に終止符を打つべく、数ヶ月前からお仕事を始めた私。
パートタイマーなのでお仕事は毎日というわけでもありません。無理なくいい塩梅にお仕事ができているせいか、お仕事へ行くのが楽しみでならないのです。
とはいえ、家族のいるに身の上です。世間一般からすれば、家族と過ごす夏休みは必要だと考えるのでしょう。
そのような配慮はありがたいことではありますが、私にとって今年は「休まない夏(お仕事をする)」にしたいのです。
つまり家族よりも自分のやりたいことだけをやる夏ということです。
夏休みとはいえ、成長した子供達はそれぞれ予定があります。大学生はお友達との遊びの予定やバイトが、そして高校生の方はといえば部活や受験に向けた夏期講習など、なかなか忙しい様子。
外国人夫はといえば、家族でどこか海外にでも旅行に行きたいようなのですが、子供達が大きくなってからというもの、私が事あるごとに、
「夏休み中なんて空港もどこもかしこも混んでるでしょ?そんな時期に行くのはいやよ。。。」
「そもそも、子供達の予定もあるし、私だってお仕事があるのよ!全員に都合のいい日を何日も確保できないわよ」
「一人でお里帰りでもしてきたら?」
などと、積極的に動かないので諦めているようです。旅の計画や手配は昔から私の役目で、外国人夫は自分では決してしないので、黙るしかないというわけです。
世間が夏休みといえど、家族の面倒を見る必要のない主婦は自由というわけです。
しかし、小さなお子さんを抱えるお母様方はそうもいきません。
専業主婦でも子供をどこに連れて行こうか?夏休みの課題は?宿題も見てあげなくちゃ!おまけに一日3食食べさせなくちゃ!と、普段よりも忙しくなります。
またお仕事をしている人などは、たとえパートタイマーであっても、なかなか苦労が多いようです。
学校が夏休みに入ってから、子供から電話がかかってくる人もいます。
家で一人でお留守番をしているのか、ちょこちょこと連絡してきます。
そのたびに「ちょっとごめんなさい」と、片手で受話器を隠しながら、
「だから、お昼は冷蔵庫にある炒飯をチンして食べなさい」
「朝、お金渡したでしょ?コンビニでもなんでも好きなもの買って!」
はたまた
「だから、夕方には帰るから、詳しい話は後で聞くから」
と、そんな感じで受話器を置いた後にため息。。。
そんな私よりも少しだけ若いお母様方を横目に、私が何時に帰宅しようがうんともすんとも言わない我が家の子供達も大きくなったものだわぁ。。。と思うのです。
こんなお母様方にとっては、やはり夏休みは家族とゆっくり過ごせる数少ないチャンスなのですね。
私自身、子供の頃に父や母と過ごした夏休みは思い出深いものです。
父が自由業だったため、シーズン問わずよく旅行には連れて行ってもらったものですが、何故か夏の記憶というのは鮮明です。
海で山で高原で、あらゆるところで過ごした夏の断片が今でも思い出されます。
我が家の子供達にもそんな思い出がたくさんあります。
夏休みともなれば、海外で長期休暇を過ごし、あちらこちらできうる限りのものを見せ、体験させてあげようと奔走していました。
専業主婦だったため、とにかく一年中子供をはじめ、家族中心の生活を送ってきたのです。
そんな忙しい夏を20年近く繰り返してきましたが、ようやくそんな夏休みからは卒業する時期がきました。
お仕事のある日は思い切り働いて、お休みの日には美味しいものを食べに行ったり、お買い物をしたり。
暑くて怠いときにはゴロゴロと一日中ソファーで過ごすこともできます。
さすがに掃除、洗濯など家事はやりますが、夏休みには当たり前だった三度三度の食事の支度など、やりたくなければやりません。
自分で作らずとも、一歩外へ出れば栄養満点でなおかつ美味しいものがよりどりみどりです。
幸いにして我が家の外国人夫は私に家事を強要することはありません。子供達も自分のことはなんでも自分でできる歳です。
「作りたくなければ外食する?」
「外に出るのが嫌ならケータリング?それとも何か買ってこようか?」
と、自分も作りたくなければ、みんなで楽をしよう!となるのです(笑)
「マミーはこれまで家族の世話を一生懸命やってくれたから、もう自由したらたらいいよ」
そんな言葉に主婦としての役割から解放された私は、家族第一の夏休みを卒業させていただき、自分のための夏を過ごすのです。