朝一番で虎ノ門へ行く用事があった日、思いのほか早く終わったので、ウォーキングがてら歩いて帰ることにしました。
今となってはオフィス街とはまったく無縁の専業主婦です。タクシーなどで通る事はあっても自分の足で歩くのは何十年ぶり?というくらいに久しぶりでした。
どうせ時間もある事だし、愛宕神社へ寄って行こう!
突然思いつきました。
昨年の後半から、外国人夫の仕事がとても上手く行くようになったこともあり、「出世の石段」に登ってお礼をしてこようと考えたのです。
愛宕神社へ行く道すがら、そういえば『虎ノ門岡埜栄泉本店』さんが近くにあったわ!と思い出しました。
東京の和菓子好きさんなら、一度はこちらのお菓子を口にしたことがあるのではないでしょうか。
『岡埜栄泉』さんというお店、なんだかあちこちでお見かけし、支店がたくさんあるようなイメージなのですが、暖簾わけはあったものの、ほとんどのお店は違う流れのようです。
かつて上野界隈にも私の知る限り上野駅近くと、広小路あたりにと2軒ほどありましたが、虎ノ門とは違うようです。
そんな同じ名前のお店で、過去には豆大福を色々食べましたが、どこもまったく違ったものであった記憶があります。
そんな中、やはり一番美味しいと思ったのが、この『虎ノ門岡埜栄泉』さんのものでした。
虎ノ門岡埜栄泉の豆大福
『岡埜栄泉本店』さんの豆大福といえば、こし餡の大きなお大福さん、そんなイメージでしたが、記憶の中のそれと比較すると、幾分小さくなった?
それとも私が大きくなったのか?(笑)
それでもまだ小さいという大きさではありません。
搗きたてのお餅のように柔らかい皮に、少なめに散らされた赤えんどう豆。
中の餡子はしっとりとしたこし餡です。
こし餡の豆大福といえば、京都の『出町わかば』さんが一番に思い浮かびますが、こちらも東の代表格と言えるくらいに美味しいこし餡です。
豆大福なら断然「粒あん!」と公言していますが、改めて「こし餡も悪くない」と食べるたびに思わせてくれるのがこの豆大福なのです。
昨今では百貨店などでも目にするようになった『虎ノ門岡埜栄泉』さんの豆大福。
久しぶりにでしたが、やっぱり美味しいなと再確認。
もう少し足繁く通ってもいいかなと思いました。
この日、豆大福を5つほど買うだけのつもりが、例の如くまた他のお菓子も買ってしまい、思った以上に大きな袋を提げて帰ることになりました。
先に愛宕神社へ行くべきだったわ。。。
この荷物だし、『出世の石段』はまた次の機会にしようかしら?
そう思ったものの、「できることはできるうちにやってしまうこと」と、何事も先送りにはしないことが信条です。頑張って行ってみることにしました。
愛宕神社『出世の石段』
そして『出世の石段』を登ります。
傾斜45度、石段は一段が約20cm、それが86段もあるといいます。私は登るので精一杯で数えていません(笑)。
こうして写真で見ると大したことないように見えますが、これがなかなか怖いんです。
ずっと続けてきたウォーキングと昨年始めた筋トレの成果か、息切れすることもなく、他のサラリーマンのおじさんや同年輩のおばさん達をどんどん追い抜き、あっという間に登りきりました。
50代、まだまだ満更ではありません。
とは言いつつ、とても怖かったです。。。
ちょっと油断でもしてバランスを崩せば、この傾斜では何十メートル下まで真っ逆さまです。そう思うと怖くて気を抜けませんでした。
境内には沢山のスーツ姿の男性で一杯でした。平日の午前中だからそれほど人はいないだろうと思っていたので意外でした。
某花形IT企業の団体さんも熱心にお詣りしていましたが、時代の最先端を行くようなお仕事をなさっている方々でも、こうして神様のお力を借りにくるのねぇ。。。と、日本人の心の中にある信心を見た気がしました。
そんな方々に混じって私も日頃のお礼と、さらなる出世をお願いしたのですが、専業主婦の私が出世???
何になるつもりなんでしょう(笑)
おみくじも引いてみましたが、こちらも「これまで通り頑張っていけば大きな成功あり」だそう。
ちょっと気になる一文もありましたが。。。
総合的にはまずまずです。
しかし。。。専業主婦の私に「大きな成功」とは?
ちょっと気になる一文。それをまともにとらえるべきか?
もう深く考えずに、よき結果のみを喜ぶことにしました。
さて、帰りはといえば。。。
来た石段を上から見下ろすと。
怖いです。降りられる気がしません。もう、全然しません!
登っている時から、帰りは無理だなと思っていました。
でもご安心を。他にも帰り道はあります。
少し離れたところにある建物にはエレベーターもありますし、隣にはもう少し傾斜の緩やかな女坂という石段もあります。
しかし、私は境内から向かって左側にある、ちょうどトンネルのところに出る別の階段から戻ることにしました。
ただ単に帰る方向への近道だからですが。
こちらも結構な傾斜がありますが、横幅も狭く手すりが掴みやすいことと、ジグザグの道なので万が一転がってもすぐ止まります。
こうして転がることなく無事に豆大福含め、他のお菓子も守りながら帰還致しました。
おかしなもので、体力のあり余っている若い時には、前を通ってもわざゆわざ登ろうなどとは思わなかったのに、この歳になって、そんな気になるなんて。
いつかはと思っていたので、一つ念願が叶いました。
とても寒い朝だったので、帰宅後には温かいお茶を淹れ、美味しい豆大福で消耗した心身を整えたのでした。