このブログも今年で4年目ですが、お菓子ブログにしては登場するのが遅すぎた感のあるこの店。
1884年創業という、神田にある老舗の洋菓子屋さん『近江屋洋菓子店』さんです。
子供の頃、父がよくお土産に買ってきてくれたり、私が働くようになってからは、仕事でよくこの界隈にきていたので、お茶を飲みに寄ったりと、なかなか思い出深いお店なのです。
しばらくというか、ものすごくご無沙汰していたのですが、4月8日からリニューアルのため改修工事に入ると知り、あのレトロな内装も見納めかと、なんだかソワソワ。
改修前になんとか行きたいなと思っていたのですが、タイミング合わずで、無理かと諦めた頃、たまたまそちら方面に用事ができ、ようやく足を運ぶことができました。
淡路町の駅からならすぐですが、私は新お茶の水からぶらぶらと歩いて行きました。
平日の午後、しかも今はコロナでイートインもお休みなので、店内は比較的静かでした。
現在コロナによりお休みですが、奥が喫茶コーナーです。
この日、午後4時過ぎだったので、すでにレーズンビスクウィやドライケーキなど、焼菓子は売り切れ。。。
しかし、ケーキの方はお気に入りが揃っていたので、この日は生ケーキだけお持ち帰りしてきました。
箱もパステル調のイラストで、昔ながらの街のケーキ屋さんといった雰囲気です。
この日は好きなものだけ揃えて、ケーキビュッフェしました(笑)
これは昭和スタイルのケーキだからこそできること。
海外ブランドのケーキはすごく重たくて、一つでギブアップですが、こちらのような昔ながらの日本のケーキは、何個でも食べられてしまう軽さがあります。
サバラン
まずは私のこの店一番のおすすめ、サバランです。
元々サバランやババが大好きなのですが、この店のサバランは一気に2個食べられるほどの美味しさです。
ふんわり柔らかい生クリームがてんこ盛り。
しっかりラム酒の染み込んだブリオッシュは、レーズン入り。
お酒は強すぎず、香りも味も優しい。それでいてとにかくコクがあります。
洋酒をすっかり吸い込んだ、ゆるゆるのブリオッシュ、ふわふわの優しい生クリーム、レーズンのシャキッとした歯応えと、深みのある味。。。
食べかけ画像で申し訳ありませんが、カップの底にはラムのシロップがたくさん残っています。
この店では主役級の人気ケーキもありますが、こちらも是非お試しして欲しい一品です。
ショートケーキ
この後に出てくる『苺サンドショート』がとっても人気なのですが、私は断然『ショートケーキ』派です。
酸味のあるイチゴが一つポンと乗っています。スポンジの間にイチゴはサンドされていませんが、ケーキが小さめなので、イチゴは一つで十分!
とにかく、しっとりとしたスポンジ生地に生クリームの味わいが最高です。
アップルパイ カット
こちらも一度は食べてみて欲しいアップルパイ。この店の看板の一つですね。
パイはしっかり厚みのあるタイプ。。
パリッとした表面が甘く香ばしく、厚手なのにパサパサっとした感じのない、本当に美味しいパイ生地です。
りんごのフィリングは、シャキシャキではなく、柔らかく煮込んであります。
アップルフィリングの染み込んだ、香ばしいパイ、わずかに酸味を残したりんごで、とっても素朴な味わいです。
子供の頃、家庭で手作りしていたようなアップルパイを思い出します。
昨今よくある、パイ生地もアップルも薄く敷き詰められたような美しいアップルパイも好きですが、いくらでも食べられてしまうのは、やっぱりこのタイプ。
頭の中だけでなく、舌のほうも昭和です(笑)
ちなみに、このアップルパイはホールもあります。
苺サンドショート
今は、こちらがとっても人気だそう。
私は断然普通のショートケーキ派なので、これまで一度も買ったことがなかったのですが、(というか、昔々あったのかしら?覚えがありません。。。)ブログには一番人気を登場させておこう!ということで、お味見におひとつ(笑)
このケーキ、とっても大きくて、他のケーキの2倍以上の大きさです。
前出のショートケーキの3つ分くらいはありそう。。。
記事上のワンプレートに全てのケーキをのせてある写真がありますが、『苺サンドショート』は半分にカットしたものです。それで大きさがわかると思います。
とにかくクリームとイチゴがたっぷり!
クリームとスポンジの配分を見ると、クリームの方がかなり多めです。
スポンジは『ショートケーキ』ほどのしっとり感はなく、とても軽いスポンジなので、完全に生クリームとイチゴが主役ですね。
これだけ大きくて、クリームたっぷりでも、全体的に甘さも控えめ。
そして生クリームの軽さとイチゴのフルーティーな酸味で重たさをまったく感じません。一人でも1個ペロリといけます(笑)
どのケーキもお値段がリーズナブル。その上、上質で飽きのこない美味しさ。
この日のお会計は税込で、¥2,354。そのうち『苺サンドショート』の税込¥1,080を除けば、どれも¥350〜と、お手頃価格。
近所に欲しいお菓子屋さんです。。。笑
ところで、このお店はお菓子だけでなくパンもあります。創業当時はベーカリーで、今のような洋菓子中心となったのは、そのずっと後のこと。
今でも、しっかりベーカリーは残してあります。
向かって右上の「焼きピロシキ」美味しいです!
私はあまりパンを買ったことはないのですが、とても美味しそうなパンが並んでいて、ちょっと興味を惹かれました。。。
改修前の店内
改修前のお姿を残しておこうと、お店のお姉さまに店内の写真を撮らせてとお願いしたところ。「どーぞどーぞ」と、仰って頂けたので、パシャリと何枚か店内を撮っておきました。
この店舗も50年以上になるので、空調設備等、そろそろお直しが必要だとかで、ついでに内装なんかもやってしまおうということらしいのですが、従来の雰囲気は残すようです。
この素敵なタイルもこのままだそう。
私の記憶が正しければ、現在の店内は数十年前とは少し違うところもあります。
昔々は、このような高いテーブルではなくて、もっと低いお席。そして今はドリンクバーになっていますが、当時は普通の喫茶店スタイルで、サラリーマンやOLさんなどが、お茶を飲んでいたようなお店でした。
店内の色調は変わらないものの、思い出の中では、もう少し明るめの感じだった気がします。
そんな少しの変化はあるものの、今回は1ヶ月半にも及ぶ大改修です。
形あるものは変わっていくものですが、お菓子の美味しさはそのままなので、感傷的になることもありませんね。
〈追記〉
この日、売り切れでお持ち帰りできなかった焼菓子をお目当てに、後日また行ってきました。
焼菓子に加え、またしてもサバランをお持ち帰りです(笑)
改修を機にようやく再訪し、この美味しさと再会できました。
また、1ヶ月半後にサバラン買いにきましょう!
余談ですが。。。
『近江屋洋菓子店』さんのような歴史あるお店は別として、子供達が今の私のように、かつて両親に教えてもらった味を、果たして30年後に味わうことができるのか?
「昔、よくここのお菓子食べたな」と懐かしくて思い、また足を運ぶということができるのか、コロナ禍による不況や後継者の問題などで、行きつけのお店がなくなっていく様を見ていると、そちらの方が切なく思うのでした。。。