『とらや』さんのお菓子は、子供の頃からいつも家にあったお菓子でした。
来客が多い家だったので、訪れた方のお土産にと、箱詰めの最中や羊羹が常に用意されていました。
お客様用でしたが、時に私もおこぼれにあずかり、おやつに楽しんでいたものです。
お中元やお歳暮の時期も、贈るのは『とらや』さんの羊羹か最中で(たまに両口屋是清さんが加わることもありましたが)その時期になると、何件も伝票を記入するのが大変だと、いつも私が駆り出されていました。
父が亡くなってからは、そんな習慣もなくなり、『とらや』さんのお菓子も「いつもあるお菓子」ではなくなりました。
今では食べたくなると、自分の足でせっせと買いに走っております。
幼少期に培われた食の記憶は、一生消えることがないのだろうと思います。
今回はそんな馴染み深い最中です。
ブログの過去記事に当然あるだろうと思っていたのですが、見つかりません。
このブログも5年以上になり、記事数も1600記事を超えているので、書いている本人でさえも、どのお菓子をレビューしたか、まったく覚えておりません(笑)
そんなわけで改めて「もなか」を。
弥栄
1個 ¥238(税込)
賞味期限は製造から24日。
菊の形をした美しいもなか種は、パリパリというよりは、適度にふんわり感があり柔らか。
ツヤのあるずっしりとした小倉餡が、とにかく濃厚で美味しいのです。
最中はどちらかといえばこしあん派で、白い『御代の春』も好きですが、こちらの粒あんも同じくらい好きです。
「いよいよ栄に栄える」という、とても縁起のよい名前のお菓子なので、新年やお祝い事の贈り物に重宝しています。
ついでに、こちらのお菓子も。
残月
1個 ¥346(税込)
賞味期限は製造から21日。
最近とっても好きで、『とらや』さんへ行くたびに一つ、二つとおやつ用にお持ち帰りするお菓子です。
半月の形をした、密度高い生地にほんのりと香る生姜。
生地の表面にスーッと引いてあるすり蜜のシャリっとした食感が、よいアクセントになっています。
そして、このこしあんです。みっちりと硬く、小豆の風味がギュッと詰まっていて濃厚な味わい。
大人の味わいです。
『とらや』さんのお菓子は、ネーミングが秀逸。風情のある素敵な名前がついていて、そこに込められた思いや景色を思い浮かべながら頂くと、また格別です。
私は洋菓子も大好きでよく頂きますが、この情緒は和菓子だからこそであると、美味しさがその分プラスされる気がしているでした(笑)