パスポートの残存期間が3ヶ月を切ったので、この度更新手続きに行ってまいりました。
我が家の場合、外国人夫の親兄弟、親類は、当然のことながら海外在住なので、万が一家族に何かあったときには、すぐに渡航できるように決してパスポートを切らせてはならないのです。
また子供達に限っては、名前が英語名の記載になるため、失効させてしまうと名前の綴りに関してのヘボン式問題も出てきます。
これは子供達が産まれ、初めてパスポートを取得する際に大変苦労した覚えがあります。
ヘボン式問題
このヘボン式について説明をするとなると、あまりに長くなり途中で嫌になってしまいそうなので、わからない方はウィキペディアかなんかを参照していただけたらと思います。
要は、英語のネイティブが日本語を読む際に使われる発音記号のようなものと思っていただければいいでしょう。
今回はパスポート取得に際しての「ヘボン式問題」についてなので、名前で例を挙げてみましょう。
〈リンダ〉という名前、英語であれば
〈Linda 〉または〈Lynda 〉
と表記しますが、ヘボン式だと 〈Rinda〉となります。
〈ヴェロニカ〉さんの場合は
〈Veronica 〉→〈Beronika〉
なんだか、全く別人の名前になってしまいます。。。
ちょっと説明が難しいのですが、そんな感じで、とにかく我が家の子供達はどちらもこのヘボン式に引っかかる英語名を持っています。
日本のパスポートを取得する際、氏名はこのヘボン式を使用することになっています。
しかし、それでは海外へ出た時に、あちらの方に英語名であることが認識されず、何のための英語名なのよ⁉︎ということにもなりかねません。
へんてこりんな名前だと思われないためにも、ヘボン式は避けなければならないのです!
しかし「非ヘボン式にしてね!」と言ったくらいでは、簡単には変えてもらえません。
非ヘボン式にするには
今から20年近く前は、まだ今ほど国際結婚も多くはなく、ハーフキッズも少なかったので、非ヘボン式を希望する場合はこうしてね!などという親切なインフォメーションはありませんでした。
申請する方もそれほど大ごとになるとも思っていませんので、当たり前のようにパスポートセンターへ行き、申請用紙にもしっかり「非ヘボン式」で記入。何食わぬ顔で提出したのでした。
しかし、「ヘボン式で書いていただかないとダメです」といきなりの却下です。。。
日本語名であるならわかりますが、英語名まで⁉︎
「それは困ります。ヘボン式ではダメです!どう考えても英語名にヘボン式とはおかしいでしょ?」
と食い下がったところ、窓口の方もわからないらしく、担当の方はあちこち駆け回り「ハーフはどうなるのよ⁉︎」と言っていたと思ったら、奥の方へ引っ込んでしまいました。。。。
長らく待たされたのちに担当者から告げられたのは「公的証明書がないと非ヘボン式にはできません!」との答え。。。
公的証明書といってもどこでとっていいのやら。。。
子供達は2人とも日本で産まれたので、夫の国にはまだ出生届けも出しておらず、パスポートも取得していませんでした。
外国のパスポートや出生証明書以外に、公的な書類など思いつきません。
「パスポートって海外へ行く際に必要なものですよね⁉︎ なのに、どうしてヘボン式なの⁉︎ 矛盾していません?」
「こんな変な綴りの英語名なんて、どう考えてもおかしいと思いません?」
「まるで別人の名前になってしまいます!」
もう、あれこれ思いつく限りのことを訴え、非ヘボン式にしてもらおうとしましたが「無理です。。。」と困り顔。
途方に暮れてパスポートセンターを後にした私。外国人夫に事情を説明すると、とにかく大使館で相談してみようということになりました。
私でさえもヘボン式に抵抗があるのですから、外国人夫にとっては当然理解不能です。
「こんなの名前じゃない!」と、それはそれは大変な騒ぎとなったのでした。
その後、大使館を訪れた私達。かくかくしかじか事情を説明すると、
「あら、そうなの?じゃ、今すぐ作ってあげるわ〜」
と、その場で証明書を発行してくれたのでした。
普段は「外国人っていい加減よね〜」「軽すぎるのよね〜」などと悪態をついている私ですが、このときばかりは軽く融通を利かせてくれるところに感謝いたしました!本当に助けられました。
こうしてめでたく公的証明書を手に入れ、再度パスポートセンターの窓口を訪れると、窓口業務の皆さんは覚えていたようで「よかったですね」と喜んでくださいました(笑)
そこで言われたのが、
「今後、このパスポートは絶対に失効させないで下さい!なぜなら、このパスポートこそが公的証明書になるからです!」
この言葉を肝に命じて、以来5年おきに2人の子供達のパスポートを守り続けてきたのです!
時代は変わったのに。。。
さて、あれから随分と時は流れ、街を歩けばハーフキッズにあたる!という世の中になりました。
現在はこのヘボン式問題、どうなっているのかしら?と、調べてみたところ、いまでも公的証明書が必要なようですね。
いやはや、国際結婚ってやっぱり面倒です。。。
しかし、もう昔とは時代が違います。そろそろこのヘボン式表記を見直してみては?と思わないでもありません。
別にハーフキッズを特別扱いしろというわけではありません。今は日本人であっても海外で覚えてもらいやすい名前を!と、日本語でも英語でも違和感のない名前を付ける人もいます。
国際結婚も増え、海外へ出て行く日本人も増え、さらには日本を訪れる外国人も増えています。 つまり、それだけ外国人と接する機会が格段に増えているのです。
もう一昔前とは事情が違います。
「ヘボン式やめろ!」とは言いませんが、もう少し柔軟に対応できないものかなと思うのです。
海外の公的証明書を取り寄せたりするのは時間もかかります。
我が家の場合はたまたま国内の大使館でどうにか対応してもらえましたが、もし無理であったら本国に出世届けを出し、それから証明書を発行してもらい日本へ郵送してもらわねばならなかったでしょう。
一体どれだけ時間と手間がかかるのよ!といった事態にもなっていたということです。
パスポートは日本国民として大切なIDになるものなのだから、そうそう簡単には出さないわよ!というのもわかります。
それでもこの「ヘボン式問題」に関しては、いまだにモヤモヤするのです。
世界最強のパスポート
そうブチブチと愚痴りながらも日本のパスポートにこだわる理由。
それは世界最強と言われるジャパニーズパスポートだからなのです!
私も若い頃、ヨーロッパの各国をふらふらした際に、その威力を実感したものです。
車で国境越えする際も、他国籍のお友達はパスポートを穴が空くほど見られ、あれこれ質問されたりと、なかなか入国スタンプを押してくれない中、私の燦然と輝く真っ赤なジャパニーズパスポートだけは、開いてすぐ余白にボン!っとスタンプを押されるのです。
あまりに簡単なので「もう少ししっかり見てよ!」などと冗談で言ったこともありますが、「No problem!」だそうです。
この信頼度の高さとは一体なんなの⁉︎
もしや私がものすごく真っ当な人物に見えるから?なんて自惚れてみましたが、当時は海外暮らしの気楽さからとってもラフなスタイルで、まるで起き抜けに近所のコンビニへでも行くような格好で国境越えしていたのです。
私がどう見えるではなく、やはりあれは間違いなくパスポートの威光と言えるでしょう。
どこの国とは言いませんが、入国スタンプを押し忘れたのか、面倒だったのか、スタンプすら押さずに入国させた国もあったくらいです。
これには外国人友達も唖然としていて、「そのパスポート欲しい!くれ!くれ!」と大騒ぎされたものです(笑)
それほどジャパニーズパスポートの威力は絶大だったのです。
時はバブル期、どこの国でも「日本人はお金持ち」と、認識されていた頃のお話です。
おまけに静かで礼儀正しいというイメージのあった日本人は、問題も起こさずに、静かにお金だけを落としていってくれる、ありがたい存在と思われていたのでしょう。
今はすっかり赤字大国となった日本ですが、未だに「世界最強のパスポート」であることに、ちょっと驚いてしまいました。
そして、パスポート取得率が24%、つまり4人に1人という割合であるということもです。
大概の国であればVISAなしで渡航できるお得なパスポートです。
しかも時に海外旅行は国内旅行よりもコストがかからなかったりもします。
それなのに、24%の人しか取得してないだなんて!
もったいないことです。
ヘボン式の人もそうでない人も、是非とも最強の真っ赤なジャパニーズパスポートを持って、その威力を確認してきてはどうか⁉︎ と、パスポートセンターのベンチにて思ったのでした。。。